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2013.09.03

三越伊勢丹 ネット売上高200億円へ 9月にEC専用物流センター開設

4月1日付けでグループWEB事業部長に就任した中島郁氏

 三越伊勢丹ホールディングスは9月、EC専用物流倉庫を神奈川・厚木に開設する。撮影スタジオを併設し、倉庫内でのささげ(採寸/撮影/商品説明原稿)業務も可能にする。ウェブシステムの専門スキルを持つ人材を外部から採用するなど組織の見直しも図り、ECでの売上高を早期に現在の2.5倍にあたる200億円にする計画だ。EC事業のてこ入れによって同社が目指すのは、百貨店のオムニチャネル化。このほど開かれた同社の事業戦略説明会で、中島郁グループWEB事業部長が、今後のEC事業拡大に向けた課題やビジョン、取り組みについて説明した。

 同社のEC事業は、2012年度から開始したグループ3カ年計画のなかでも重点事業の1つ。今年4月には、日本トイザらスやジュピターショップチャンネルなどで通販・EC業務を統括してきた中島郁(なかじま・かおる)氏をグループWEB事業部長に迎え、売り上げ拡大に向けた運用体制を見直してきた。今年度は、社内スタッフだけで構成していた事業部にWEBシステムの専門スキルを持った人材を外部から登用しEC運用業務を内製化した。また5月には三越と伊勢丹共通のカスタマーセンターを開設。業務の機動力アップや効率化を狙っている。

 EC専用の物流倉庫を設けたのもその一環。商品登録業務から商品発送までのリードタイムを短縮するため、およそ1,000坪の敷地に商品撮影のためのスタジオを併設。倉庫内でささげ業務(採寸/撮影/商品説明原稿)が完結する環境を整えた。

 同社が目指しているのは、百貨店のオムニチャネル化。中島氏は、「三越伊勢丹と聞いて、お客様が思い浮かべるのは、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の基幹3店舗のイメージ」として、将来的には、「3店舗を中心とした三越伊勢丹のブランド力や編集力をオンライン上に実現し、どの販売チャネルで買っても三越であり、伊勢丹であること」を目指す。まずは、早期にECの商品登録数を現在の5万SKUから15万SKUに増やす計画だ。

 現在取り組んでいる組織の見直しや物流の整備などは、オムニチャネル化に向けて「やるべきことをやり、組織のあるべき姿を作っている段階」だという。現在同社のEC事業売上高は80億円(2012年度実績)。これを早期に2.5倍の200億円規模に近づける計画だが、中島氏は、「やるべきことをやれば達成できる確信がある」と話す。「むしろ売上増への施策をほとんど打ってこなかったにも関わらず、これだけの売り上げがあるのが不思議なくらいだ」といい、その売り上げを支える背景として、三越伊勢丹のブランド力があることを改めて指摘した。

 今後は、三越・伊勢丹の両通販サイトのカートの一元化などシステムのリニューアルや、アフィリエイト広告による手数料収入などの施策も視野に入れるが、まずは、リアル店舗のブランド力を強みに、「まずはECサイトへのトラフィックを増やし売り上げを拡大すること」(同氏)に注力する。

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