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2019.03.06
【2019秋冬パリコレ ハイライト6】厳戒態勢が続くパリで求められる自然とリラックスムード
2019秋冬パリコレクションでは自然からインスパイアされたコレクションやナチュラルでリラックスしたムードの服が続いている。コレクション会期中にもデモの影響で交通規制が行われ、一部の駅が閉鎖されるような状況の中で、自然やリラックスしたムードが求められているのだろうか。
イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)
「イッセイ ミヤケ」は今シーズンも自由を着る、自然を着るとでも呼べそうなコレクションを見せた。
形を記憶し、着る人が自由に形を変えることができる「DOUGH DOUGH」と名付けたデザインは更にバリエーションを広げ、形や色が増え、楽しさが広がる。服自体が踊り、笑い、楽しむように弾む服は四半世紀以上進化し続けたものだが、いつみても新鮮だ。
色や光を重ね、モンタージュのように組み合わせた新素材BLINKも提案。折り紙のようでもあり、建築のようでもあり、自然の風景のようでもあるデザインも新しいはずなのに、一目でイッセイ ミヤケとわかるものであり、空気や風、光を着ているかのように重さを感じさせない。
着る人に参加する余地を残し、見るものにも想像する間を残したデザインは「イッセイ ミヤケ」が続けてきたもの。テクニック以上に服を着る楽しさや着る人を主役にするような方向に進んでいるようにも見えた。
マメ(Mame Kurogouchi)
黒河内真衣子がデザインする「マメ」はジャパンブルーとでも呼べそうなブルーを中心としたコレクション。前シーズンに続き、手記、写真、ドローイングから構成されるデザイナー自身のダイアリーを元に「青」と「記憶の破片」というインスピレーションから生まれたコレクションを提案した。
江戸時代に織られた古い布との出会いからスタートしたという今シーズン。歌川国貞らによる青から着想した青や、海や水を感じさせる青などを使ったデザイン、1点1点が別に着られるというレイヤードスタイル。シルバーやゴールド、ラメなどを使ったデザインやフューチャリスティックな白などもリアルでありながら、自然や日本を感じさせるのは背景に日本の素材や技術があるためだろう。
ルメール(LEMAIRE)
「ルメール」も独特のスタイルの中に自然のモチーフを取り入れた。窓から自然の光が差し込む会場で発表したのはセカンドスキンと名付けたトップスとパンツ、デニムのシャツとパンツ、ゆったりとしたコートとタートルネックのドレス、ニットやジャージドレス。シンプルな中に女性の体を強調したデザインやしわ、光沢感のある素材、クチュールのような大きな袖などによって変化を出すとともに、今シーズンは石のプリントや砂のようなテキスタイルを使ったアイテムもプラス。日常とクチュール、都会と自然を共存させた。また、カメラバッグなどの小物もアクセントになっている。
レオナール(LEONARD PARIS)
「レオナール」もリラックスしたムードや若々しいアイテムをプラスした。航空券のようなインビテーションが送られた今回。独自のプリントドレスや光沢のある素材を使ったドレスとともに現れたのは、旅行するときにぴったりのロゴ入りフーディーやブルゾン、そしてジャケットとのコーディネート、オレンジのコート。機内からビジネス、パーティ、ディナーまで、様々なシーンに対応出来そうなコレクションに仕上げている。
クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)
「クリスチャン ワイナンツ」は今シーズンも自然からインスピレーションを受けたようなデザインを並べた。花を思わせるピンクのフレアドレスや、花と植物をプリントしたジャケットとパンツ、ドレス、水のようなブルーと光を思わせるイエローを使ったニットやドレス、無地と柄、色を斜めに切り替えたワンピース。トレンドのチェックもイエローやブルーを使うことで、クラシックでは無く自然なムードになっている。これらのデザインやモチーフはワイナンツが繰り返し使ってきたものだが、今のトレンドや気分とマッチしている。
ユマ ワン(UMA WANG)
「ユマ ワン」はシンプルなデザインから民族的なムードのデザインまで幅広いコレクションを見せた。シンプルな白のワンピースやチェックをアシメトリーにしたデザイン、フリルをアクセントにしたデザインなど、全体にナチュラルでリラックスした雰囲気のデザインが中心。オーバーサイズのマントやジャケットと民族的なムードをドッキングしたアシメトリーなジャケット、アジア的な柄なども、すっきりとリアルなバランスにまとめられている。