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2019.03.04

【2019秋冬パリコレ ハイライト5】ハウンドトゥース、バッファロー、チェッカーボード…テーラリングトレンドの中、様々なチェックが登場

 パリコレクション5日目は、ジョナサン・ウィリアム・アンダーソンによる「ロエベ(LOEWE)」、オリヴィエ・ルスタンによる「バルマン(BALMAIN)」、そしてエディ・スリマンによる「セリーヌ(CELINE)」のショーが行われた。

ロエベ(LOEWE)

 「ロエベ」は、これまで通りユネスコ本部を会場にショーを開催。ジョナサン・ウィリアム・アンダーソンが編集し、M/Mがデザインを手がけた17~18世紀のミニアチュール作品(肖像を描いたペンダントトップ)をプリントした、“MY BEST SELF”と題されたポスターが配布されたが、今季はミニアチュールに描かれる人物達のまとうクラシックな雰囲気を漂わせつつも、アンダーソンの解釈による全くモダンなアイテムで構成。

 ニットと布帛を手刺繍で繋いだドレスや、ハウンドトゥースとジャージーのダミエパッチワークのコート、カシミール風のペイズリープリントをカットアウトしてアップリケしたドレスなど、今までに見たことの無いアイテムを多数考案し、手仕事の美しさを披露した。

 今季は特に、テーラリングを多く発表してはいるが、このブランドらしいアイデアを加えた新鮮なものに仕上げている。アンダーソンによる奇想天外な、しかし新しいエレガンスのカテゴリーを生み出しそうな、革新性溢れるコレクションとなっていた。

「ロエベ」2019秋冬コレクション

バルマン(BALMAIN)

 「バルマン」は17区の催事場、エスパス・シャンペレでショーを開催した。今年1月に発表されたメンズとレディースのプレコレクション、そして先月発表されたクチュールコレクションと、それぞれ雰囲気の異なるものを提案していたが、今季のレディースをどのように差別化するのか注目された。

 結果は、手の込んだクチュール的なコレクションラインと、プレコレクションの流れを汲んだ、よりアクセスしやすいカジュアルなラインをミックスし、これまでのグラマラスな側面を残しつつも、新しいバルマン像を提示して見せていた。華やかな総刺繍アイテムも登場していたが、今季はスタッズを無数に打ち、更にフェザーをあしらって動きを出したアイテム見られた。

 またスパンコールを刺繍したリボンをバラのようにあしらったボレロやドレスも登場。それらをデニムのパンツに合わせるなど、カジュアルダウンの手法が新鮮に感じられた。

「バルマン」2019秋冬コレクション

セリーヌ(CELINE)

 「セリーヌ」は、ナポレオンの墓地や武器博物館も併設されるアンヴァリッド(廃兵院)の庭に建てられた特設テントを会場にショーを発表。ジオメトリックなモチーフのスカーフを巻き、プリーツのキュロット、という70年代をほうふつとさせるルックで幕開け。

 メタルパーツをあしらったエキゾティックレザーのベルトとチェーンベルトのバッグ、ロングブーツとサングラス、という小物使いも含めて、一瞬レトロ感が漂うが、ロック的で反逆的な雰囲気がエディ・スリマンの作風そのもので、70年代のアイテムとは大きな違いを見せる。

 エッグイエローやゴールドが差し色として用いられてはいたものの、ブラウンやグレー、ブラックなどのベーシックカラーでまとめ、シックでエレガント、しかしどこかに現代的な強さが伝わってくる、グラマラスなネオ70sを描いて見せていた。

「セリーヌ」2019秋冬コレクション

ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)

 3日目にパレ・ド・トーキョーでショーを行った「ドリス ヴァン ノッテン」は、これまでのエレガントな作風を一歩押し進め、作品に陰影を加えて新しい側面を見せていた。ガードルート・スタインの詩「Sacred Emily」より、「薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である」の一節を引用。

 2018年10月に、デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンの家の庭に咲く花々を撮影し、プリントに用いている。モチーフは花だけでなく、花の陰も含めてモチーフとし、花の持つダークな側面も表現。それらを、1940~50年代のクチュールを思わせる、大きなフォルムのメンズテーラリングに乗せている。マニッシュなアイテムにフェミニンな花のモチーフがあしらわれ、「ドリス ヴァン ノッテン」が好むコントラストの妙を見せた。

「ドリス ヴァン ノッテン」2019秋冬コレクション

ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)

 「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は、パリのショールームにてロンドンで発表した最新コレクションを披露。これまでのポップで遊びのあるアイテムではなく、よりエレガントで成熟した雰囲気にまとめている。今季は特にボリュームとシルエットの探索をしたといい、コートなどのアウターに注力。オーバーサイズのコート類は、異素材を組み合わせたり、太いハイウエストのベルトでボリュームを調節したり、このブランドらしいアイデアが反映されている。編みの表と裏を巧みに組み合わせた、大きなペイズリー柄のニットも目を引いた。

 

 既に6日目を迎えているパリコレクション。日を追うごとにトレンドが見えつつある。今季、特に印象的だったものがチェックモチーフ。その筆頭的ブランドが「ディオール(Dior)」で、50年代のテディガールズのイメージを引用し、レッドやグリーンなどの鮮やかなチェックを見せている。その他にも、「ロック(ROKH)」や「ロエベ(LOEWE)」などでも色のあるチェックが見られたが、元々はメンズファブリックであるため、今季のキーワードの1つ、テーラードともリンクして、多くのブランドで用いられている。今年の冬は、様々なパターンのチェックが街中で見られるに違いない。

 

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取材・文:清水友顕

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