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2019.02.16
多様性をクリーンに心地よく表現 「ファイブノット(5-knot)」2019秋冬コレクション
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伸び盛りのクリエイターが率いる「ファイブノット(5-knot)」は2019秋冬コレクションを2019年2月15日、東京・東雲のイベントスペース「TOLOT/herristic SHINONOME」で発表した。アートギャラリーを思わせる空間で、コンフォート(着心地よさ)とクラス感が同居した雰囲気のコレクションを披露。持ち味である「旅」のイメージやボーホーな気分を漂わせながら、クリーンさや洗練を一段と磨いてみせた。
インド洋に浮かぶ島国のスリランカは多民族、多宗教の複雑な成り立ちの国として知られている。「旅」をクリエーションの根っこに据えている鬼澤瑛菜、西野岳人の両デザイナーは今回のコレクションの出発点にスリランカを選んだ。成り立ちが「ミックスオリジン」の国だけに、装いも全体に自然なクロスカルチャー感を漂わせている。
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カフタンとサンドレスを融け合わせたような、しなやかに流れ落ちるシルエットが伸びやかな着姿を印象づけた。落ち感がきれいなジャケットやオールインワンもエスニックな趣(おもむき)。ウエストのあたりまでV襟を深く切れ込ませた、サマーセーター風のニットウエアはレイヤードでスタイリング。シャツは胸元を広く開けて、涼やかな着映えに仕上げている。
グレーで始まり、サンドカラーや生成りなどへと続く、アーシーで穏やかなカラーパレットがナチュラルな風情を呼び込んだ。くすませたオレンジやパープルが彩りを添える。濃淡を微妙にずらしたベージュ系やグレー系の「トーン・オン・トーン」のコーディネートは自然体のイメージを醸し出す。
自然と調和するリゾート建築の巨匠、ジェフリー・バワは、水平線に溶け込むかのような浮遊感が得られる「インフィニティプール」の考案者としても有名だ。デザイナーデュオはバワ建築からも着想を得たという。
多くのルックはほのかにエスニックな表情を帯びていながらも、モダンでクールなランウェイになじんで見えた。イヤリングやネックレス、バングル、ダブルバックル・ベルトなどのアクセサリーが自然に装いと交じり合う様子も、金属と木材のマリアージュが巧みだったバワの面影を残す。
創り手が自然に包まれて過ごしたスリランカでのデトックス体験からか、これまでに比べ、飾り気をそぎ落としたムードが感じられる。素材の面でも、リネンを織り込んで、あえて粗野感を演出。とろみ生地やシルク素材も用いて、気負わない着姿に導いている。エコスエードのシャツ、エコレザーのスカートといった、環境や生命に配慮した新素材も積極的に取り入れていた。
着心地がよさそうなコンフォートシルエットは体の線を拾いすぎない点でも、大人女性の期待に応えそうだ。このブランドらしいヴィンテージ風味やテイストミックス感を保ちつつ、オーガニック風味の空気感がプラスされ、着る人の存在を際立たせるようなコレクションを提案していた。