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2019.01.16
【2019秋冬ミラノメンズ ハイライト3】ミラノメンズでは“ユース&ストリート”と“シック&ラグジュアリー”が同時進行
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ミラノメンズ最終日は、「ヌメロヴェントゥーノ(N°21)」、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」、「フェンディ(FENDI)」、午後にはイタリアファッション協会のサポートによる、「イサベル・ベネアート(ISABEL BENEART)」 、「スパイダー(SPYDER)」、「サルトリアル・モンク(SARTORIAL MONK)」などの新進デザイナーのショーが続いた。
ヌメロヴェントゥーノ(N°21)
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「ヌメロヴェントゥーノ」の今回のムードは男の“エロチシズムとアンビギュティ”。テーラードかストリートか、マッチョかトランスジェンダーか、というような「AまたはB」的なステレオタイプな選択肢に縛られない、自由であいまいな部分をより強調している。
テーラードスーツやキャメルコート、スラックスといったクラシカルなアイテムを、ルーズに胸元が空いたTシャツ+ニットのインナーと合わせたり、レースや光沢素材のシャツとコーディネートしたり。またはタイドアップにフライトジャケットを合わせる。トップに多用しているニット類はすべてウエストイン。堅さと柔らかさ、男らしさとフェミニンさがブレンドされる。
こんな「ヌメロヴェントゥーノ」のコレクションはカテゴリーで傾向を決めつけようとするファッション界の先を行く、新しい世界観を提案しているかのようだ。が、今回のミラノウオモでは、まさに、こんな不明瞭さがキーワードのような気がする。
エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)
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「ジョルジオ アルマーニ」のショーを、2月にウイメンズとの合同で開催する予定のジョルジョ・アルマーニ社。今シーズンは、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」のショーだけ開催した。
今回のコレクションのテーマは“LIBERTY”。動物の世界からのエネルギーや自然界の広大なイメージを、アーバンジャングルを駆け巡る男たちのためのコンテンポラリーな世界観に落とし込んだ自由でダイナミックなコレクション。
それはボリューミーなものから部分的にあしらわれたものまでコレクション全体に登場するファーやアニマル柄、ブクレやモヘア、ダウンなどの暖かく包み込まれるようなアイテムに象徴される。そして全体的にグレーやホワイトのトーン使いでシックにまとめている。ボリューム感のある耐寒性の高いアウターが多いのが印象的だが、そんなアイテム達とも正統派でタイドアップしたスーツやジャケットを合わせたり、または中盤ではオーセンティックなスーツのシリーズが登場しているのが印象的だ。
さらに後半にはスキーやスノーボードに対応できる本格的なウインタースポーツギアが登場。バリエーションも実に豊富で、本ラインを発表しない分を補っても余りあるような圧巻のコレクションだった。
フェンディ(FENDI)
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今シーズンの「フェンディ」のセットは“ライブラリー”。本の背表紙はブラックでタイトルはホワイトという感じに、全体的にブラック&ホワイトのみでまとめられたシックな空間だ。
今回のコレクションでクリエイティヴ・ディレクター、シルヴィア・ヴェントゥーラ・フェンディがキーワードとするのは“DUALISM”。クラシックとフューチャリスティックという二面性を1つのコレクションの中に織り交ぜる。それはまさに今シーズンのミラノウオモの流れを象徴しているかのようだ。
左右または上下がバイカラーのジャケットやコート、ジップによってシルエットが変わるアウターやパンツ、光沢素材やトランスペアレントな素材など意外なマテリアルで仕立てたクラシックなアイテムたちが多数登場する。
会場のセットの雰囲気に通ずるように、カラーパレットはブラックを多用、ベージュやブラウンなどクラシックな色に赤やゴールドの差し色や、未来派の絵のようなプリントも差し込まれる。またFFロゴの遊びはこのところ継続しているが、今回はコレクションイメージに合わせてカリギュラフィ風のシックな雰囲気に。ショーの最後にはポップシンガー、ラッパーのジャクソン・ワン(Jackson Wang)がフェンディとコラボレーションした楽曲「フェンディマン(Fendiman)」を歌ってフィナーレを飾った。
取材・文 :田中美貴