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2025.04.20
ゾゾが英LYST社を買収へ、欧米での事業基盤を強化
ZOZO(ゾゾ)は4月9日、アフィリエイトモデルのオンラインファッションプラットフォーム「LYST(リスト)」を手がける英LYST社(ロンドン)の全株式を、同国に設立する子会社を通じて取得することを決めた。買収額は約231億円で、取得日は4月30日を予定する。ゾゾはこれまで自社テクノロジーのライセンス提供を中心に海外市場の開拓を進めてきたが、LYST社のM&Aを機にEC・メディア領域を含めて欧米での事業基盤を確立したい考え。
ゾゾは、課題だったグローバル市場での成長を加速する目的で、同社と同様に「ファッション」と「テクノロジー」に強みを持つLYST社の完全子会社化を決めた。
2010年にロンドンでスタートした「LYST」は、カジュアルからラグジュアリーまで世界の2万7000以上のブランド、9700万SKUの商品情報を集約し、独自のレコメンドAIがユーザーに最適な商品をマッチングするオンラインファッションプラットフォームだ。
サイト利用者が遷移先の通販サイトで商品を購入すると、パートナー企業から成果報酬型の手数料を得るビジネスモデルで、LYST社は在庫を抱えていない。
遷移先は海外ファッションブランドの通販サイトに加え、「ファーフェッチ」などのECモールとも連携している。
現在、「LYST」は190カ国で展開しており、主要なマーケットはアメリカ(30%)、英国(24%)、欧州(34%)となり、年間利用者数は1億6000万人、年間購入者数は220万人、平均注文単価は6万3000円で、欧米を中心に人気のサイトだ。
また、3カ月ごとに発表している注目ブランドとファッションアイテムのランキング「LYST Index」はファッション業界でも影響力を持つという。
LYST社の24年3月期の連結売上高は5000万£(約93億8000万円)、当期純損失は100万£(約1億8800万円)だった。
ゾゾは、自社で蓄積したEC運営のノウハウに加えて、計測技術やAIを活用したアセットをLYST社に組み込むことで、トレンド分析やスタイリング提案を含め、同社の事業基盤の強化やサービスにおけるユーザー体験の向上などに取り組むという。
また、LYST社を軸にした新規事業の創出を図るほか、さらなるM&Aを通じた成長を目指す。運用面ではシステム基盤などでスケールメリットの追求も見据える。なお、株式取得後もLYST社はエマ・マクフェラン氏がCEOを務め、英国を拠点に独立した事業運営を行う。