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2024.12.24
「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」が2025秋冬コレクションを発表 国内で最後のショー
志鎌英明がデザインする「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the Discordance)」が2024年12月20日、2025秋冬コレクションを発表した。国内で発表する最後のショーとなる今回。「サンドダストフレーバーズ(Sand Dust Flavors)」をテーマに、砂埃やほこりをイメージしたカラーパレットや加工、生地の表面の質感に着目し、服やグラフィックデザインに取り入れた。
パリメンズファッションウィークの1か月前。会場は神奈川県川崎市のとどろきアリーナ・メインアリーナだ。どのようなコレクションが発表されるのか期待が高まる中、ショーは予定時刻の30分後にスタート。モデルたちはテーマを強調するように暗い会場内をスポットライトに照らされながら歩く
コレクションは、埃を連想させるベージュを基調としたカウボーイスタイルのオーバーサイズジャケットとパンツ、白いシャツにネクタイを組み合わせたコーディネートで始まった。コートやブルゾン、ネクタイ、スカーフプリントを用いたボトムスやシャツ、ニット、カレッジロゴ入りの古着風Tシャツ、小物。コラボレーションを強調するような胸や背中に付けられたウエストコーストチョッパーズ(WEST COAST CHOPPERS)のロゴが目を引く。
コラボレーションアイテムに組み合わせるボトムスは、オーバーサイズからスリム、ショート、袴風や素材を巻き付けたスカートのようなデザインまで、さまざまなシルエットや丈がアクセントとなっている。今回のコラボレーションでは、前回のショーで注目を集めた「アンブロ(UMBRO)」とのコラボレーションに続き、今シーズンはブラジルのフットボールブランド「ペナルティ(PENALTY)」とのコラボレーションによるコートやブルゾン、パンツなど計25型のアイテムも登場した。
さらに、「ジョン ドゥ(JOHN DOE)」を手掛ける「ケンタロウヤマモト(KENTARO YAMAMOTO)」のアイデアとデザインをもとに、テキスタイルや加工、ヴィンテージファブリックの要素を取り入れるなど、ベルトのバックルの塗装にもこだわっている。今回のコラボレーションでは、卸展開も行い、新たな試みとして取り組みを進めたという。
また、今回のコレクションでは、コラボレーションアイテムに加え、さまざまな素材をパッチワークしたデザインや、ビッグシルエットで表現したテーラードジャケットも注目を集めた。1970年代に日本のデザイナーたちが発表した野良着や着物などから着想を得たアイテムを彷彿とさせるデザインや、1980年代を思わせる異なる編地を大胆に組み合わせたニットが登場。さらに、カラフルで大胆な色柄の素材をつなぎ合わせたコートや、日本が世界に誇るデニムをパッチワークしたパンツの組み合わせも目を引いた。フィナーレを飾ったスカジャン(横須賀ジャンパー)は、左右で異なるアシンメトリーなデザインで、二つのスカジャンをつなぎ合わせたように見えた。
ヴィンテージ感のある加工や若手職人とのチーム再編成。刺繍では香川県の工場と協力し、独自のテキスタイルを完成させた今シーズン。海外での武器となるこだわりの素材と日本を感じさせるデザイン。さらに、海外ブランドとのコラボレーションや、ストリートファッションの首都と呼ばれた東京らしいデザイン、小物と日本の伝統、次の展開に向けたテーラードを日本的バランスで表現したデザインなど、多様な提案が登場した。砂埃やほこりをイメージしたテーマに沿い、ベージュを中心とした色使いや素材感で統一感を出し、繊細さと大胆さを共存させたコレクションは、ミラノでのショーに向けたテストにも見えた。
志鎌英明は「パリに行く前に東京でショーをするなら、お正月明けより年末の方がまだ良いかなと思ったんですが、スケジュールが本当にギリギリになりました。1か月前にサンプルを完成させる必要があったのですが、本当に厳しかったです。体調にも影響が出て、足が震えたり、耳がしびれたり、片目が見えなくなったりして。白髪も増えました」と笑いを交えてコメント。
今後については「ミラノメンズファッションウィークに参加するかはまだ公表できませんが、挑戦してみたいと考えています。展示会はこれまで通りパリで行います。イタリアには多くの街にハイブランドを扱うブティックがあり、パリでは出会えないようなブティックがたくさんあります。イタリアで発表する機会を増やすことで、新たな出会いや挑戦ができると考えています。クラシックなファッションが主流の国で、横浜生まれでストリートファッションに根差した自分がどこまで挑めるか、自身でも試してみたい。数年かけてイタリアでの発表を続けていくつもりです」と話した。
取材・文:樋口真一
Courtesy of Children of the Discordance