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2017.09.27
徹底した透明性を図る「エバーレーン」が今秋デニムを発売 その履き心地は?
EC特化型のファッションブランドとして知られる「エバーレーン(EVERLANE)」。このブランドについてご存知のない方に簡単にご説明すると、2011年にサンフランシスコを拠点にスタートしたミニマルなデザインを特徴とするブランドです。ウィメンズとメンズを展開し、今ではベーシックなTシャツから、カシミアやウールなどのニット類、アウター、バッグ、靴など、展開するカテゴリーを少しずつ増やしています。
「エバーレーン」最大の特徴は、販売価格だけでなく、材料費や人件費、物流費といったその商品にかかるコストまで公開していること。似たようなスタイルの商品の一般的な価格も併せて掲載し、ブランドの「徹底した透明性(Radical Transparency)」を図っているのです。
今秋からデニムを販売 洗い加工用の水は98%リサイクル
9月というと、米国ではバック・トゥ・スクールのシーズン。リテールのウィンドウや売り場でもデニムをプッシュする傾向を目にしますが、エバーレーンでも今秋からデニムコレクションを展開することになりました。デニムを作る際は通常、洗い加工を繰り返すわけですが、エバーレーンのデニムを生産するサイテックス(Saitex)という工場では、その過程で使用される水を98%リサイクルし、その水は飲めるほどきれいだといいます。
さらに、ソーラーパワーなどの再生可能エネルギーの利用に努め、デニム生産の過程で出る有害な物質も、環境を壊さない形で再生するのだそうです。
Saitex 工場について:https://www.everlane.com/denim-factory
ポップアップショップで生産工程を公開
デニムコレクションのローンチを記念し、ニューヨークファッションウィーク中の9月7日から4日間、ポップアップショップ「ザ・デニム・カウンター(The Denim Counter)」がNYソーホーで開催されました。ショップの中央には、天井からデニムが波を打つように吊るされ、両サイドとフィッティングルーム脇に用意された棚にはデニムがサイズごとに陳列されていました。また店内ではVR(ヴァーチャルリアリティー)が3台用意され、サイテックス工場がどういったところなのか映像を通じ体験することができました。
ポップアップショップやイベントではこの1~2年、VRを使ってブランドのコレクションを紹介したり、プロモーションビデオを見る演出するブランドを多くみます。
日本のプレミアムデニム生地を使用 ストーリー性のある商品にひきつけられる消費者
エバーレーンのデニムは、ジャパンメイドのデニム生地を使用しています。最近のデニムには履きやすさのためにストレッチの効いたものが多いなか、ロウデニムと若干のストレッチを加えたいいとこ取りといった具合です。
ウィメンズは、「ハイライズスキニー」(股上10インチ)、裾がやや細めの「ミッドライズスキニー」(股上9インチ)、そしてスリムでありながらもゆとりがある「モダンボーイフレンド」(股上10インチ)の3種類。ハイライズとミッドライズには、レギュラーレングスとアンクルレングスの2つの丈が用意されています。 一方メンズは、「スリムフィット」と「レギュラーフィット」の2種類。レングス(丈)は30インチと32インチの2種類のみです。
ファッションウィーク期間中で過密スケジュールだったこともあり、ポップアップショップでは、とりあえず軽く試着だけをしてみました。155cmと背の低い私はレギュラーレングスだと若干丈が余る感じで、アンクルレングスがちょうど良いです。サイズは普段買うデニムのサイズで大丈夫でした。
その後、メンズのブルーデニム(サイズ32/32)をオンラインで買い、ボーイフレンドにプレゼント。その履き心地をレポートしてもらうと、“ロウデニムっぽさもあるのに、履きやすい柔らかさがある”と気に入った様子です。履き心地の良さに加え、価格はウィメンズ、メンズどちらも68ドルと安価なのも嬉しい。もちろんもっと手頃な価格のデニムも市場にはあるはずですが、エバーレーンのデニムには、68ドルという安さに加え、スートーリーがあり、スペシャルに感じる付加価値があります。
「エバーレーン」は現在、サンフランシスコとニューヨークにショールームを持ち、昔はアポイントメント制だったその場所も、今では営業時間ならば自由に訪れることができます。ショールームでは、一部の商品に対しては在庫を持ち、購入の際にその場で持ち帰ることも可能です。 現時点では、カナダ、オーストラリアには海外発送が可能。日本を含むその他の国々については、年に数回の期間限定で発送しています。
エバーレーンがファンを獲得した理由は、商品の徹底した透明性だけではなく、ECでの買い物のしやすさや、SNSなどのデジタルマーケティング、ショールームやイベントにおけるブランドと顧客とのエンゲージメントなど、商品以外の取り組みにもあるようです。
次回日本への海外発送を行っている期間に、何か気になっている商品をオーダーしてみてはいかがでしょうか?
■ EVERLANE
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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