PICK UP
2015.11.11
オフプライス、セカンドハンド…プロパーで買わないという選択肢
今、ホットで勢いのあるリテイラーやトレンドを見ると、正規価格以外で販売しているリテイラーが非常に多い。若年層を中心に、もうプロパー価格では購入しないという消費者も多いのではと思いますが、その選択肢も広がりレギュラー価格で販売する小売店のシェアを奪いつつあります。通常のストアがセール商品を増やして集客した所でマージン率が下がる一方、なんの対抗策にもならないなどプロパー価格以外で買い物する選択肢は増加しています。
生産コストを暴露しているリテイラー
オフプライス店が集結している、ニュージャージ州のBergen Town Center
最も新進のトレンドと言えるのが前回取り上げたEverlane(エバーレーン)のように、工場から直接生産を行うことで余分なコストカット、生産に関わるコストを消費者に伝えることで、質の良い商品を適正価格で提供するというビジネス。新進のバッグブランド「Oliver Cabell(オリバーカベル)」も同様の手法。オンラインリテイラーのJET.COM(ジェットコム)もコストを透明化している企業の1社。そして昨日新たな資金調達をして話題のJET.COMは、完全会員制で、収益は年会費の50ドルのみでアマゾンを含む他のどのオンラインショップよりも最安値の商品の販売を確約している。アマゾンキラーと呼ばれていますが、まだそこまでは品数は多くなく、家電品、コンピュータ関連、食品、洗剤、キッチン用具など生活必需品が中心です。
百貨店も続々参入 競合化するオフプライス業態
この分野ではTJ-Maxxグループが寡占化状態で独走していましたが、ノードストロームのRACK(ラック)は人気の高いホームグッズ商品もスタートし、現在の194店舗から2020年には300店舗への目標を掲げ絶好調。その他、ニーマンマーカス、ブルーミングデールズ、サックスフィフスなどのデパートは、いずれもオフプライス店がレギュラーの店舗数を上回る勢い。新規にスタートした企業では、メイシーズの「BackStage」、ロード&テイラーの「Find@Load&Taylor」、テスト店としてこの夏オープンした、コールズの「Off-Aisle by Kohls」と、新たにこの分野に参戦するデパートが続々登場しており、バリュー商品を求める若年層の獲得に挑んでいます。
過去5年で4億ドル調達 投資家にも人気のセカンドハンド市場
オンラインリセールサイトのThredUp(スレッドアップ)
古着店、スリフトショップ、ラグジュアリーリセーラーなどのビジネスは今、最もホットと言っても良いほど。2015年にベンチャー企業がリセールビジネス企業に投資した金額は1億ドル、過去5年で4億ドルと投資家達も注目しているビジネス分野。ブルームバーグ誌によると、オンラインリセーラーの資金は以下の通り。中でも「ThredUP」(スレッドアップ)はゴールドマンサックスの資金調達を得て、最も拡大している企業の一つ。
①ThredUP(スレッドアップ)$131M(1億3100万ドル)
②RealReal(リアルリアル)$82M(8200万ドル)
③Vestiaire Collective (ヴェステイエール)$70M(7000万ドル)
④Tradesy(トレーデイジイ)$45M(4500万ドル)
⑤Poshmark(ポッシュマーク)$40M(4000万ドル)
⑥Vinted(ヴィンテッド)$38M(3800万ドル)
⑦Threadflip(スレッドフリップ)$20M(2000万ドル)
展示会品や在庫品を求めて 行列必至のサンプルセール
サンプルセールの様子
ギルトグループやRueLalaなど、オンラインでサンプルや在庫をさばく企業もありますが、ここ最近人気を博しているのが、その場で現物を売り切る実店舗型のサンプルセール。毎日のように、このサンプルセールの情報が飛び交い、長蛇の列が話題になっています。サンプルセールは、展示会用やランウェイ用に生産された製品のことで年間のスケジュールに基づき開催されるケースが多いですが、例えば先日行われた「マノロ ブラニク」のアニュアルサンプルセールでは、サイズ36~38(23.5~24.5cm)価格は平均$150~200、アリゲーターのブーツでも400~500ドル返品、交換なしの現金払い。またVINCEのサンプルセールではXS~XLまで揃えているとのこと。中には、頻繁にセールを開催しているブランドや各種サイズを取り揃えている企業もあるので、人気の“サンプルセール”に便乗して、レギュラー在庫も販売されているのではとも思いますが・・・いずれにしても、ラグジュアリーブランドの商品が65~75%で購入でき、売り切れ御免の現物販売ですから、ファストファッション同様、“今買わないと”という衝動も働きます。プロパーで売れないと苦戦を強いられているリテイラーにとっては、二足三文でオフプライス店に流す代わりのインスタントキャッシュイベントとも言えます。
近所に、オフプライス店とブランドのアウトレットで構成されたネイバーフッドモールがあり、近辺には、通常のモールが3軒もあるのですが、集客の差は歴然としています。洋服のお買い物は前者で、レストランやバー、映画鑑賞は通常モールでと言うように、目的にも変化が出ているようです。プロパーで買うことが少なくなって来ている消費者が増加していると思いますが、選択肢が広がっていることで、ますます激化しそうです。
http://hauteliving.com より、NYC のデザイナーサンプルセール攻略法が紹介されています。(参考写真)
マックスリー・コーポレーション
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