PICK UP

2022.12.23

東コレの始祖CFD TOKYOとは何か  久保雅裕議長に聞く

写真:CFD TOKYOのウェブサイトには創設時の様子が伺える画像を掲載

 

 

 東京コレクションを始めたと言われている一般社団法人 東京ファッションデザイナー協議会(以下CFD TOKYO)。どのような団体かご存知だろうか。

 CFD TOKYOとは何かはファッションデザイナーの団体。1985年7月、三宅一生を代表幹事に、川久保玲・松田光弘・森英恵・山本寛斎・山本耀司の6人を発起人として、多くのファッションデザイナーが集まり発足した。以降20年にわたり、春夏・秋冬の年二回、東京でファッションショーを主催。東京をNY・ロンドン・ミラノ・パリと並ぶファッション都市として発展させてきた。しかし近年の東京でのファッションウィークの運営は、2005年に設立された一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(以下、JFW推進機構)が中心となり進めており、CFD TOKYOの存在感を示す場がなくなってきた。

 2022年7月にはそのような現状を打破すべく、ファッションジャーナリストで杉野服飾大学特任教授の久保雅裕氏が代表理事・議長に就任。会員数を倍に増やし、オンラインセミナーなどの活動を始めており、再生に向けて始動している。

 そこでCFD TOKYOの活動について久保氏に聞いた。

 

 

久保雅裕(くぼ まさひろ)東京ファッションデザイナー協議会 代表理事・議長

 

ウェブサイト繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。現在自身のサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」を運営。杉野服飾大学特任教授として同学園のフリーマガジン「ファッションマガジン」の編集長や、encoremodeコントリビューティングエディターも務めている。

 

 

 
―就任して5ヶ月経った。現状をどのように捉えているのか。
昔と決定的に違うのは、東京のコレクションスケジュールのコーディネートをしていないこと。それ以外の様々な取り組みを模索してきたが、会員も減ってきてしまって今に至ってます。ただし、CFD TOKYOは日本で唯一ともいえるファッションデザイナーの団体。デザイナーの社会的役割を再考し、スローガンとマニフェストを整えたところです。スローガンは「ファッションは文化だ!!」で、マニフェストは「会員はファミリー、共に敬意を払い、自らを行動して互いに高め合おう」「垂直連携(川上・川下)と水平連携(ファッション教育機関・異業種)のハブになる」としました。
 
―スローガンとマニフェストの下どのようなことをするのか。
まずは「垂直連携と水平連携のハブ」になることが大事。そのためには会員を増やすこと以外にも会員でなくても活用できる存在になることが必要。今いろいろな方にヒアリングをしてニーズ把握しているところです。そして正会員とのワーキンググループを組んでアイディア出しをしていきます。
 
―今、オンラインセミナーをやっている。
はい。デザイナーは「学ぶことが大事」なので、セミナーを活発化させていきます。そしてYOUTUBEの配信も考えています。こちらは荒木町のバーで、私がマスター役でゲストに話を聞くというものです。セミナーもYOUTUBEも会員以外の方も視聴できますよ。
 
―他媒体ではオフスケジュールのファッションウィークをやると報じられているが。
やりたいだけでまだ具体的に進んでいることはありません。ただ将来的には目指しています。海外との連携もいつかやりたいと思っています。海外の展示会出展やポップアップショップ、越境ECなど。
 
―他の取り組みは。
バイヤーとデザイナーのマッチングイベントを行います。10社程度の大手セレクトショップのバイヤーと会員のデザイナーを集めたもので、バイヤーが各社のシーズンのバイイングポイントをプレゼンテーションする交流会を考えています。
 
―セレクトショップにもデザイナーにも人脈のある久保さんだからできること。
これまでジャーナリストとして培ったものを業界にお戻ししたいという思いで考えた次第です。
 
 
 
 これまで閉ざされた組織というイメージがあったCFD TOKYO。「一体何をやっているのかわからない」と言った辛辣な声も聞かれてきたが、それらを受容している久保氏。「2024年6月までには会員をさらに倍にしたい」と最後に語っていた。

 

聞き手:アパレルウェブ編集長 山中健

メールマガジン登録