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2018.03.14
アマゾン、ターゲットへの反撃!? ウォルマートが新アパレルブランド続々発表
ウオルマートの新PBライン「ワンダー・ネーション」ルックブックより
TARGET(ターゲット)の子供服「キャット&ジャック(Cat&Jack)」が好調で、販売スタートした2016年度の売り上げは20億ドル(約2,000億円)に達したと話題になっています。デザインのキュートさに加え、ミレニアル層をターゲットにした食品部門の充実、コスメテイックや生活必需品にも、様々な工夫が見られ、集客に成功している事が一因となり、「Cat&Jack」のヒットに繋がっているそうです。また、コールズ(KOHLS)では、食品スーパーの「ALDI」(アルディ)のインショップ展開(リース契約)を発表しました。
コールズは、米国ではデパートに分類され、ナショナルブランドのアパレル商品を中心にホーム雑貨や靴などを販売しています。かたや、ドイツ・ベースの「アルディ」は、徹底的なコストカットで、入荷したカートンボックスをそのまま配置、店員も2~3名のノーフリルストア(飾り気のないストア)。1,600店舗にまで拡大し、ウォルマートと客層が重複することから新勢力として注目される企業です。デパート内で、低価格帯が売りのスーパーを併設するのは客層が異なり、違和感がありますが、苦戦するアパレル商品の販売促進をしようというのが狙い。そして、食品部門が確立しているウォルマートでは、逆に、新PBのアパレルラインの展開により新たな客層の獲得を狙っています。
決め手は豊富なサイズ展開 2兆円市場にもチャレンジ
ウォルマートの新PBライン「テラ&スカイ」ルックブックより
新しく展開しているブランドは、下の表に記した4つ。3月からオンライン&店頭で販売がスタートしています。今年の秋にはスタイリングがイメージできる写真とともに、アップグレードしたディスプレイやフィッテイングルームを設置する予定です。
様々な人種、ボディタイプのモデルを起用、スタイリッシュなミレニアル層を中心に、幅広い客層に対応していることがルックブックからもわかります。店頭を実際に見て、非常に印象的だったのがサイズ展開。ビッグサイズが充実しており、レギュラーサイズの婦人服「タイム&トウルー」は3XLまで、ビッグサイズラインの「テラ&スカイ」は、30Wまで展開しています。米国女性の65%がサイズ14以上、市場規模は、2兆1,000億円と伝えられ、年間に4.15%の増加をしながらも、マーケットはまだまだ不足しています。思い切ったサイズ展開ができるのは、全米5,000店舗以上運営する企業ならでの強みと言えます。平均の価格帯が、5~30米ドルと低価格ですので、商品の品質は値段なり。しかし、ユニクロが目標に掲げていた、「MADE FOR ALL」を一足先にチャレンジした形と言えます。すべての客層のための展開には、プラスサイズ市場を意識した3Dフィットが不可欠といえます。
ブランド名 |
カテゴリー | サイズ展開 |
タイムアンドトゥルー(TIME AND TRU) | レディス | XS~3XL |
テラ&スカイ(TERRA&SKY) | レディス(ビッグサイズ) | 14W-30W |
ワンダーネーション(WONDER NATION) | キッズ | 4-18 |
ジョージ(GEORGE) | メンズ | S-4XL |
ウォルマートの新PBライン「テラ&スカイ」ルックブックより
中高所得者層をつかめ 老舗デパート「ロード&テイラー」とのタイアップ
ウォルマート内で販売している新PB「タイムアンドトゥルー」の売り場
この春スタート予定のプログラムで興味深いのが、ロード&テイラーとのタイアップ。マンハッタン5番街にも店を構える老舗デパートですが、Walmart.com内に、ロード&テイラーの「フラッグシップストア」プレミアムファッションブランドサイトを設置するそう。客層が違うのではないかと思うのですが、ウォルマートは昨年、「ボノボス」や「モドクロス」といったファッションEC企業を買収しており、経済的に余力のある若年層の客層とクロスマッチさせ、サーチ商品の型数を充実。Amazon.comに匹敵するマーケットプレイスを構築させようとしているのではと憶測されています。
逆に、ロード&テイラーサイドのベネフィットは何なのか? ボノボスやモドクロスの客層が、ウォルマートによる買収を歓迎しなかったのと同様の拒否反応があるのでは?と思われますが、ウォルマートの持つ膨大な客層へのリーチ、そして全米5,000店という実店舗を利用して、ロード&テイラーのEC販売商品のピックアップや返品などに活用できるのは魅力的。ちなみにロード&テイラーの店舗数は50店舗ほど。実現すれば、ウォルマートは中・高所得者層を店頭に呼び込むことができるのできるかも知れません。
集客を促すための「食品とアパレル」のミックス販売、そして、EC拡大による所得者層のミックスマッチが見られるようになったのは、非常に興味深い傾向と言えます。
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