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2018.08.16
ディノス・セシール「Like it!」 購入商品にあわせた小冊子発行、旬なスタイリングを提案
「前に買った"スカート"。こう着こなしてみてはいかが?」。ディノス・セシールは過去に購入した服を中心とした旬のコーディネート情報やその着こなしを可能にする関連商品を掲載・提案する小冊子の発行を8月3日から開始した。
当該冊子で提案する"コーディネート情報"は同社の商品を身に付けたモデルカットではなく、写真投稿SNS「インスタグラム」での一般投稿の中から、購入商品と類似した商品による着こなしをAIツールで抽出して選んでおり、顧客にとってはよりリアリティや親近感があり、かつ旬なスタイリング提案となるよう。顧客が購入した服を軸とした"旬で親近感のある着こなし情報"とともに、当該スタイリングに必要となる鞄や靴などについて、同社の販売商品の中から類似したものを提案することで売り上げ拡大を狙う。
スタイリング提案による販促策は一般的には電子メールなどで行われることが多いが、メール開封率が下落していることから、開封率が総じて高い紙媒体で行うことで販促効果を高めたい狙い。また、実際に服を着用し始める時期に小冊子を送付することで当該シーズンの他の商品の販促や購入意欲の喚起を図る狙いもあるようだ。
同社が発行を開始した「Like it!」は同社の通販サイト「ディノスオンラインショップ」で特定のファッションアイテムを購入した顧客を対象に、当該品を中心としたコーディネート提案と当該コーディネートをするために必要な服や小物を掲載・提案する表紙を購入商品の画像としたA5判、8ページの小冊子。初回となる今回はディノス事業で販売した今春夏商品の中でも「コットンガーゼタックフレアスカート」など売れ筋の130点を購入した顧客、約2万人の中から1万人を対象に「Like it!」を配布し、同小冊子未配布の残り1万人と比較した効果検証を行う。
「Like it!」に掲載する"コーディネート提案"の画像はニューロープが展開する「インスタグラム」などに投稿されたファッションスナップを自動解析し、タグ情報を返すファッションAI「♯CBK scnnr(カブキスキャナー)」を活用し、同社が契約する約400人のファッション感度の高いインスタグラマーの"着こなし投稿画像"の中から、「顧客の購入品」に類似した服を含む投稿画像を抽出し、その中からディノス・セシール側で小冊子に掲載する着こなし画像を選定する。
小冊子では見開きで右ページを例えば「夏の大人カジュアル」などとテーマ別にくくった複数の投稿画像を使ったスタイリング提案を行い、左ページでは投稿画像で"購入商品の類似品"に合わせられたトップスやスニーカー、バッグなどに類似する商品を「ディノスオンラインショップ」での取扱商品の中から「♯CBK scnnr」が探し出し、その中から同社で選んだものを「ピックアップアイテム」として掲載している。1冊に3パターンのテーマ別のスタイリング提案とそれに関連する商品を1パターンにつき4点、合計12点を掲載した。それぞれの商品は誌面に記載したQRコードから同社通販サイトの販売ページに遷移し、購入できる仕組み。
なお、冊子の印刷や製本は大日本印刷およびグループのDNPコミュニケーションデザインが行う。
今回の施策の狙いについて「購入商品を軸にしたクロスセルで売り上げを上げるという狙いは当然あるが、当社も含めてファッションアイテムは一般的に実際にその服を身に付ける時期よりも前に購入頂くことが多い。すると買った服の存在を忘れてしまったり、実際に着用する際にどう合わせようか迷うこともあるはず。お客様の"着るべきタイミング"に、当社が用意したディノスの商品のみを身に付けたモデルによる提案ではなく、一般の方の投稿画像というリアリティがあり、旬なスタイリング提案を掲載した小冊子をお届けすることでお客様のお役に立てるのではないか。販促策という側面もあるが、新しい体験を提供したい」(同社)とする。
今後は対象商品を広げつつ、同試みを継続していく考え。小冊子は商品購入後、最短1週間で印刷、送付できるが、実需要の前に商品を購入した顧客に対し、実際に服を着用し始めるジャストシーズンに合わせて同冊子を送付して、満足度の向上や冊子掲載商品を含めた他のシーズン商品の購入促進を喚起したい狙い。また、年内をメドに同社のMAツールを紐づけ、極力、人手を介さずに「商品の購入データに応じて適切なタイミングで適切な内容の冊子が自動的に届くような形にしたい」(同)としている。
同社では昨秋からネット販売の各種データを活用して電子メールよりも開封率が高く、より高い販促効果が期待できる紙媒体を発送する取り組みをスタート。まず昨年9月末に2週間にわたって、「ディノスオンラインショップ」の利用者を対象に買い物カートに商品を投入した後、実購入に至らなかった人に対し、当該商品をカートしてから24時間以内に当該商品などを訴求するハガキDMを発送した。カート残存商品を訴求し購入を促す試みを電子メールでのみ実施した顧客、約3000人と電子メールと紙DMの両方を送った顧客、約7000人の当該商品の購入率を比較したところ、電子メールと紙DMの両方を送付した顧客の方が、20%程度アップするなど成果を出しており、その後もDMを使った同様の試みを実施してきた。今回の小冊子はその発展版とも言える。ECで蓄積した購買情報などを含む様々なデータとDMや小冊子といった紙媒体を連動させ、売り上げ拡大を図っていきたい考えだ。