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2018.08.02

【コールセンター売上高調査】上位30社で市場規模8.8%拡大

 通販新聞社はこのほど、テレマーケティングなどコールセンター事業を行う企業の2017年度売上高を調査した。今回は前年調査より順位を5社拡大。上位35社の合計売上高は1兆771億7800万円となった。上位30社で前年調査と比較すると合計売上高は1兆678億4500万円で、前年比8・8%増加した。人手不足を背景に企業のアウトソーシングニーズが高まっており、商機を捉えた企業が業績を拡大したもよう。2桁増収の企業も多く市場規模を押し上げている(=右表参照)。

 
 
 
 
 
 上位35社の合計売上高は1兆771億7800万円。2桁増収の企業は11社だった。
 35社の中から、上位や通販系コールセンターなど注目企業の状況を見ていく。
 
 
上位3社は好調に拡大
 
 上位の順位では、前年調査で2位だったNTTマーケティングアクトが3期連続の減収となり4位に後退。ベルシステム24とりらいあコミュが順位を上げている。
 
 1位はトランスコスモス。同社は海外事業が好調で、特に中国では中国国内向けのコールセンターやネット販売支援事業が拡大。国内ではデジタルマーケティングやコールセンター、BPOで既存業務が堅調に推移。今期も2桁増収を予想している。
 
 2位のベルシステム24ホールディングスは既存業務と新規案件が順調に拡大し増収に。筆頭株主の伊藤忠商事との協業を強化しており、同社のグループ会社や取引先から受託した業務が拡大。昨年11月に資本業務提携を結んで第2位の株主となった凸版印刷とも協業を進める。
 
 3位のりらいあコミュニケーションズは金融や電力関連で新規案件を受託したほか、既存業務も拡大。16年に買収したフィリピンのコールセンター2社の売り上げを通期で取り込み2桁増収に。売り上げのうち通販系案件は3%を占める。
 
 5位のKDDIエボルバはコールセンターのオムニチャネル化の提案を強化しており、前期はAIチャットボットと有人チャットなどを組み合わせて収益化を図る戦略が奏功し増収に寄与したもよう。
 
 6位のNTTネクシアは昨年8月に派遣事業の一部をパソナグループに譲渡した影響で減収に。コールセンター事業は微増で推移。NTTグループ向けの売上比率は減少傾向だが、グループ外では金融や公共系などが堅調。通販系についてはBPOの事務処理業務などを受託。同社は6月1日に社名をNTTソルコ&北海道テレマートから変更している。
 
 7位のTMJは新規案件を獲得したものの、国内外での業務量の減少などが響き減収に。同社はベネッセの子会社として業務を行ってきたが、昨年10月にセコムが全株式を取得。今期はセコムと連携したサービスの創出を目指す。
 
 10位の日立システムズは社内でセグメントや会計基準の見直しがあり、12億円程度の売り上げが別事業部に移行したが、実店舗設備の故障受付業務などが拡大し増収となった。今期は320億円の売り上げを計画。
 
 
5期連続2桁増収の企業も
 
 11位以下を見ると、11位のNECフィールディングはNECグループの一部業務が移った影響で大幅増収に。前期はIT以外の業務の取り込みを強化。ネットワーク系の監視業務も拡大した。
 
 12位の富士通コミュニケーションサービスは全体の売上高のうち通販やECを含む「流通・通販」は18%を占める。前期はEC関連で大手企業3社と取引を開始するなど新規案件を獲得した。
 
 15位のビーウィズは前々期に獲得した電力とガスの案件が通期で計上されたほか、通販系を含む小売流通関連業務で新規獲得や既存の拡大などにより大幅増収に寄与した。全体の売り上げのうち通販系の案件が占める割合は1~2割程度とみられる。
 
 16位のスリープログループは売上高のうちコンタクトセンター部門は31%を占めている。前期末の昨年10月にはコールセンター向けのシステム開発などを行うオー・エイ・エスを子会社化し、今期中をメドにグループ間で利用できるCRMシステムの構築を目指す。
 
 17位のカスタマーリレーションテレマーケティングは5期連続で2桁増収。通販系の大型案件を受託したほか、通信系カスタマーや入会センター案件の獲得、アウトバウンド業務の拡大などで大幅な増収となった。売上高のうち通販系案件は35%を占める。今期は引き続き2桁増収の140億円(前期比20%増)の売り上げを見込む。
 
 18位の富士ソフトサービスビューロは売り上げのうち約4割を日本年金機構の案件が占めており、同案件が増加した影響などで2桁増収に。年金機構を含めた官公庁・自治体の業務は売り上げの64%を占めており、残りの36%は民間の案件。売上高のうち数%程度の規模で健康食品など通販系の業務を手がける。
 
 19位のかんでんCSフォーラムは電気やガスの自由化によりスポット業務を受注したほか、グループ以外の案件も伸長。中でも全体の売り上げのうち3%程度を占める通販系案件で既存業務が拡大し、増収に寄与した。
 
 22位のWOWOWコミュニケーションズは前々期にBtoC向けのネット販売事業で大型アーティストの商品が大ヒットし全体の売上高を押し上げる特殊要因があった。前期はその反動で減収となった。
 
 31位のバーチャレクス・コンサルティングは顧客企業の情報システム業務を一括で請け負うなどして2桁増収となった。アウトソーシング事業の売り上げのうち、通販系の案件は4割程度とみられる。今期は佐賀のコールセンターの増床を予定。海外では4月にタイでオフショアセンターの営業を開始している。
 
 
通販系は明暗分かれる
 
 通販系を主力とする企業では、通販向けコールセンターを運営するディー・キュービックをグループ内に抱えている14位のキューアンドエーは、グループ企業がすべて好調に推移し増収を確保した。今期はノンボイス領域の取り組みを本格化するほか、親会社のNECネッツエスアイとの事業シナジー創出も図る。
 
 21位の日本トータルテレマーケティングは売上高のうち約75%が通販系の案件。前期はEC支援事業のほか、住宅メーカーや健康食品・化粧品通販会社からのアウトバウンド業務が増加。今期は96億1200万円の売上高を予想している。
 
 25位のJPツーウェイコンタクトは通販系の案件が約8割を占める。前期は新規の案件を獲得したものの、既存顧客の受電量減少などで減収に。今期の売上高は63億4700万円と増収を見込んでいる。
 
 26位のテレコメディアは通販系の案件が6割程度とみられる。前期は通販系の新規案件を数社獲得したが、既存顧客の広告投資の反響が一巡し減収。今期は51億円の売上高を目指す。
 
 27位のベルウェール渋谷はメーカーのカスタマーサポート業務などの新規案件を獲得したほか、既存業務も拡大し増収となった。今期は東京・渋谷や福岡市のコールセンターを拡張する。
 
 30位のREGAIN GROUPは営業支援に特化したアウトバウンドコールとチャット運用を行っているが、前期は既存業務の拡大に加え、新規も獲得し大幅な増収となった。売上高のうち通販系案件はおよそ8割で、格安SIMのネット販売の支援などが好調に拡大した。
 
 32位のテレネットは売り上げのうち通販系案件は7割程度。前期は既存の通販企業の案件が拡大。通販以外でも大口の新規案件を獲得し2桁増収となった。今期は売上高20億円を目指す。
 33位のダーウィンズは昨年10月に東京・立川にコールセンターを新設したほか、今年2月には台湾で中国語対応の拠点を開設し売り上げ拡大に寄与した。今期はグループ全体で21億円の売り上げを目指す。
 
 
 
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