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2018.07.12
夏物戦略商品、売れ行きよく<大手通販各社の夏の売れ筋は?> 今夏商戦の状況は「まずまず」
大手通販各社の夏の売れ筋は?
千趣会ではオリジナルの汗取りインナーブランド「サラリスト」シリーズの売れ行きが好調なようだ。同商品シリーズは例年、売れ行きのよい人気商品だが、特に今夏商戦では「電車広告・EC等のクロスメディアでの販促を実施」(同社)するなどプロモーションを強化した。4月からウェブでは汗に悩む男女の恋模様を漫画化した「大汗ラブストーリー」を当該商品の特設サイトと、祥伝社の無料漫画サイト「FEEL FREE」で連載するほか、交通広告でも展開。「サラリスト」特設サイトと無料漫画サイトでは第1話を4月23日、第2話を5月8日、第3話を同月15日に配信しつつ、漫画のビジュアルを使った中吊り広告を東京メトロの丸ノ内線とJR西日本の環状線ADトレイン323系で出稿した。あわせて「サラリスト」商品を最大1割引きとするまとめ買い割引の実施などを行った結果、猛暑も手伝い、売れ行きアップにつながったようだ。
ディノス・セシールでもセシール事業で販売する売れ筋の汗取りパット付きのノースリーブ「前汗キャッチャー」の売れ行きが好調に伸びているという。
同商品はそもそも累計販売枚数が45万枚を超える「セシール」での売れ筋商品だが、今夏は特にプロモーションを強化。同じく人気商品のノンワイヤーブラジャー「3D‐BRA」シリーズの新商品「ワンダフルフィット」を訴求する「3D‐BRAワンダフルフィット篇」とともに「前汗キャッチャー」を訴求する「前汗キャッチャー篇」の2パターンのテレビCMを5月11日から6月17日まで27都府県で放送した。同CMではかつて"何と言っているのか"と話題となったフランス語によるブランドメッセージを流し、連動して実施したSNSでのプロモーション(※フランス語によるブランドメッセージをもとにした16の「空耳フレーズの動画」を作成し、「何と言っているか」その答えをSNSで投稿させ、正解者に割引クーポンを付与する試み)なども奏功し、売れ行きアップにつながっているとみられる。
また、フェリシモでは特許を取得している涼やかなメッシュ構造を採用した「涼やかパンツ」の売れ行きが好調だという。今夏における同シリーズの新作では、歩くたびにスリットが入った裾から腰ヨーク部分へ空気が通り、また、腰回りのフィット感を増し、小尻に見せるためのカッティングを入れて、より美しく見えるように刷新しつつ、接触冷感のウルトラストレッチ素材を採用したり、より快適に履けるよう後ろゴム仕様で伸びるように刷新した「テーパード」と「ワイド」を販売。スタートにあわせて5月11日から同商品を訴求するテレビCMの放送も行った。テレビCMと合わせて通常は税別4000円で販売しているテーパードを同3800円で販売する特別価格キャンペーン(9月30日まで実施)も売れ行き増に貢献しているようだ。
ベルーナでは女性ものの「綿サテンストレッチカラーパンツ」が売れ行きを伸ばしているようだ。同商品は2013年の販売開始から多くのリピーターを生むなど人気商品で、程よく伸びるウエストやポケット位置を高めにしてヒップアップに見える視覚効果、ストレッチ素材でしゃがんでも快適なこと、上品な女性らしい光沢感で履き心地が快適な「綿サテンストレッチ」素材を採用している点などが特徴だが、今期からはサイズやカラー展開を強化。従来の5Lまでのサイズ展開に加えて、顧客からの要望が多かったSサイズを追加。さらに今年春夏のトレンドカラーである、ピンクとグリーンもラインアップに加えている。あわせて5月7日から6月12日まで、同パンツの良さを実感する瞬間やシルエットがきれいに見える瞬間を、「履き心地が、とにかくいいの!(50代主婦)」など、愛用者のレビューと重ねて描いたテレビCMを東海や近畿、九州地方などで放送した。こうした効果のほか、同商品を訴求する新聞折り込みチラシや新聞広告などマス媒体の出稿を増やしたことなどで売れ行きが伸びたようだ。
この「綿サテンストレッチカラーパンツ」のほか、男性向けのパンツでストレッチ素材を使い、さらにウエスト脇をゴム仕様とし動きを邪魔せず、股下サイズを65・70・75センチから選べ、裾上げ不要でゼージュ、ネイビー、アイボリーの3色セットで販売する「お父さんの7得らくらくチノパン」も同じくマス媒体での拡販を強化したことで受注増につながっている。
また、靴の販売などを手掛けるヒラキでは今年夏物商戦で、水陸両用シューズの「アクアレジャー」が好調に推移している。2月の発売開始から6月までの累計受注足数は7万4000足を超えており、前年比2割程度増と売れ行きを伸ばしているようだ。
夏商戦の現状と今後の見通しは
猛暑を追い風にテレビCMなどのプロモーション施策なども奏功し、関連商品の売れ行きはよいようだが、夏商戦全体の各社の状況はどうか。
千趣会では3月末から「初夏号」として各通販カタログの配布を開始し、夏物の販売を本格化させており、6月上旬から中旬にかけて「感謝祭」として対象商品を20%引きで割引販売するなど「シーズン・イベント需要にあわせて商品単位での割引キャンペーンを実施」するなど拡販を強化してきたが、現時点での夏物の売上状況としては「全体的には昨年を下回るもいくつかの注力商品は昨年を若干上回る状況」という。
ディノス・セシールではディノス事業では3月12日から、セシール事業では3月1日から夏物の販売を開始しており、ディノス事業では婦人ファッションやガーデンエクステリア、健康関連商材など、セシール事業では美容健康関連ジャンルがそれぞれ売れ行きがよいよう。現時点での夏物の売上状況は「ディノス事業、セシール事業ともにほぼ計画通りに進捗」しており、今後の見通しについては「例年より早めの夏物セールの立ち上がりの動きは今ひとつだが、今のところ、(夏商戦の)最終的な売り上げは例年並みか、(前年よりも)ややプラスになるとみている」とする。
ベルーナでは4月ころから夏物の販売を開始し、売れ行きの状況については「メンズ・レディス問わず、トップス・ボトムのカテゴリが躍進している。また、スニーカー需要の増加に伴い、靴のカテゴリに伸びが見られる」とし、逆に「メンズ・レディス問わず、軽衣料のカテゴリの動きは弱くなっている」という。現時点での売上状況はカタログの発行部数を絞ったこともあり、「6月末時点では前年同期比で微減」とし、最終的な夏商戦の見通しについても前年に比べて微減で着地するとみているようだ。
フェリシモは3月中旬から夏物の販売をスタートしたが、「6月まで気温がそれほど上がらなかったことも一因」とし「夏商品全般に苦戦している」としているが「ヒンメリやハーバリウムなどの涼をよぶ手づくり雑貨が好調」だという。現時点での売上状況については「例年並み。新規ファッションブランドは好調だが、顧客獲得数が目標に届いていない」とし、夏商戦全般の着地も「例年並み」となるとみている。
ヒラキは今夏物商品の傾向として5月から6月の不安定な気候により全般的に受注が伸び悩んだ一方で、5月から6月の長靴の受注は前年を上回り好調だったという。これからの夏商戦については「今後は市場で夏物商品不振による大規模なクリアランスを予想されることから、当社もWEB限定でクリアランスセールを実施する予定」としており、拡販を強化していく考えだ。
また、高島屋では今夏商戦はカテゴリー別ではファッションが苦戦したものの、食料品と雑貨が順調だという。中元商戦では店頭はマイナスなもののネット販売は2ケタ増で推移。これは店頭からのシフトが進んでいるほか、既存顧客よりも10歳以上若い消費者が、NTTドコモが展開する月々の携帯電話料金と合算して決済できる「d払い」を利用して購入している傾向が強いよう。「当該層は元々、コスメやファッション商材など自分用の買い物で接点を持ち、ギフト購入にもつながっている」とする。また、「父の日」では送料無料キャンペーンを実施したこともあって好調で「とくに鰻がよく売れたことで、客単価も上昇した」ようだ。
全体的には猛暑傾向の今夏だが、豪雨に見舞われる日もあり、夏物の販売が計画通りにいかない事業者も少なくないようだが、各社の奮闘に期待したい。