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2023.11.09
【高島屋の通販戦略】 自家需要開拓へEC商材拡充へ AI活用で配本の最適化も
高島屋は、EC事業部に専任バイヤーを配置したことでEC限定商材の開発などを強化しており、ギフト依存からの脱却を図るとともに、コスメなどを候補に「高島屋オンラインストア」とは別の独自サイト開設を視野に入れる。カタログ通販ではAI活用による配本の最適化や百貨店組織顧客に通販利用を促すアプローチ施策などを強化するほか、新たな販売チャネルの開拓を推進する。高島屋の現状と通販戦略を見ていく。
高島屋の2023年2月期におけるネットビジネスの売上高は約319億円、カタログを軸としたクロスメディア事業部の売上高は約221億円で、どちらも前年比微減とやや苦戦した。 ECチャネルについては、コロナ1年目の21年2月期は巣ごもり需要によって消費者のネットシフトが進み、高島屋のネットビジネスも売上高が前年比約60%増と大きく伸びたものの、前々期、前期とほぼ横ばいで推移した。 同社はコロナ1年目の貯金によってEC市場全体の伸びよりもコロナ前比で成長しているが、ギフト需要中心のネットビジネスから次の一歩が踏み出し切れていない点が課題だった。
そこで、とくに自家需要の開拓を強化する目的もあって、昨年下期には横浜市内の同社物流センターの1フロアをEC専用に改修するとともに、EC事業部に仕入れ機能を持たせた。
これまでは高島屋の各店とクロスメディア事業部に仕入れ機能があり、EC事業部はサイト運営部隊の位置づけだったが、クロスメディア事業部からEC展開商材のバイヤーごとEC事業部に移管することで、EC商材の仕入れノウハウを高めるとともに、効率化を図る狙いだ。
まずはコスメからスタートし、今上期にはリビング商材、食料品も移管した。従来、コスメについては「高島屋オンラインストア」で注文を受けると横浜店と大阪店の店頭在庫を発送していたが、EC用の在庫を確保することで、店頭の在庫状況や忙しさなどに左右されない販売・出荷体制を整えた。
先行して取り組んでいるコスメのEC売上高は、今期に入ってから前年比35%増程度で推移するなど、他の商材と比べて突出して好調という。
EC専用倉庫については現状、コスメアイテムがメインで、食料品は産直が多く、リビング商材もメーカーから直送するケースが比較的主流のようだ。
コスメ専用のサイト開設へ
自家需要の開拓に向けてターゲット領域はさまざまだが、ナチュラルコスメやアウトドア用品、ライフスタイル雑貨などのブランドを中心に、EC限定で販売するアイテムを拡充していく。
同社によると、ネットビジネスの拡大にはこれまで売り上げをけん引してきたギフト商材の存在は欠かせないものの、自家需要のアイテムを購入している顧客の方が買い上げの単価と頻度が高い傾向にあることからも、自家需要にマッチした商材を増やしていく。