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2020.11.19
三越伊勢丹 リモート接客アプリを始動、店舗販売員がささげを実施、EC非掲載商品も販売
三越伊勢丹は11月初旬、三越伊勢丹の店頭販売員とビデオ通話などで接客を受けられるアプリ「三越伊勢丹リモートショッピング」を開発し、トライアルを始めた。同社が進める”オンラインとオフラインのシームレス化”に向けた取り組みの一環で、1to1による顧客コミュニケーションの強化を図る。
新アプリはLINEのトーク画面のように顧客と店頭の販売スタッフがチャットで会話ができたり、予約すればビデオ接客も受けられる(画像はイメージ)。現在は伊勢丹新宿店の自主編集売り場を対象に同社販売員が対応する形でトライアルを進めているが、本格稼働後は三越伊勢丹に入る各ブランドでの運用が始まると見られる。
利用者は当該アプリをダウンロードすれば、対象リストからショップを選んでいつでも気軽に商品に関する質問や相談がチャットを通じてできるほか、ビデオを通じた接客も予約制で受けられる。
また、当該アプリの特徴のひとつとして、接客中に顧客が気に入ったアイテムは、その場で販売員が”ささげ”業務を行い、利用者のカートに入れることで購入できる点だ。同社運営の「三越伊勢丹オンラインストア」では取り扱いがなく、普段は店頭でしか購入できないアイテムも、チャット接客やビデオ接客で勧めた商品をオンラインで販売できる。
今後、同社では当該アプリの本格活用を始めるほか、チャット接客の文字データを蓄積してAIに学習させ、簡単な問い合わせにはAIが対応できるようにしていく。
三越伊勢丹では当該アプリのほかにもオンラインとオフラインをつなぐサービスを強化中で、6月には三越と伊勢丹で分かれていた通販サイトの入り口をひとつしに、「三越伊勢丹オンラインストア」を始動した。
また同通販サイトでは伊勢丹新宿店の品ぞろえに近づける方針で、2020年3月期には10万型だったオンライン掲載型数を今期中に15万型に拡大する計画で、9月末時点で12万型まで増やすなど当初計画通りに推移しているという。現状、新宿伊勢丹の売上高の8割を占める2100ブランドのうち、約9割が掲載済みという。
来期以降は型数の拡大を志向するのではなく、売り上げと利益につながる「質と効率を重視する」(杉江俊彦社長)考えで、売れる商品の充実や掲載写真点数、動画活用など商品説明を充実させる。
同社はコロナ禍のデジタルシフトを追い風に、EC売上高は前期の210億円に対し今期は250億円を計画していたが、とくに化粧品ECの「ミーコ」、食品宅配の「イセタンドア」などの拡大で310億円程度での着地を見込むほか、22年3月期についても360億円の計画値を上方修正する考え。