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2019.10.17
楽天 “有識者会”でサイト改善、ファッション事業でブランドとの関係性重視
楽天は10月15日、9月に発表した同社のファッション事業における新構想「Rakuten Fashion(楽天ファッション)」の実現に向けて、ファッション関連のノウハウを持つ有識者を集めた会合を設立すると発表した。ファッションに知見のある専門家の意見を取り入れることで、サイトデザイン改善やユーザーとのコミュニケーション強化などにつなげる狙い。今後はアパレルブランドの意見をプラットフォーム運営に反映させていく方針で、ブランドとの関係性を強化し、競合となるZOZOへの優位性を築きたい考えだ(写真左からマッシュホールディングスの近藤広幸社長、楽天の三木谷浩史社長、中島敏子氏、ジュンの佐々木進社長)。
同日開催された記者会見で、三木谷浩史社長は「楽天グループが持つ全てのアセット(資産)、強みを活用し、ファッションに関わるデジタルソリューションを提供していきたい」と意気込みを語った。ネット販売に関連した資産だけではなく、楽天グループ会員のデータや人工知能(AI)を使って需要予測やトレンド分析をしてブランドに提供する。また、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」や、スマートフォン決済「楽天ペイ(アプリ決済)」を活用し、実店舗への送客も行う。
有識者会のメンバーは3人で、ファッション誌「ギンザ」元編集長の中島敏子氏をエグゼクティブ・ファッション・クリエイティブディレクターに招き、ファッション誌「ヌメロ・トウキョウ」編集長の田中杏子氏とスタイリストの熊谷隆志氏をアドバイザーとした。
11月1日に1回目の会合を開く。中島敏子氏は「商品を素敵に見せるとともに、たくさんある商品の中から推薦する商品をなぜ選んだかを説明していく。サイトと商品へのロイヤリティーを高めていきたい」とし、ファッションに関する記事の作成や、キュレーター的な役割を務めたいとの意向を示した。
同社ではブランドが出店するファッションモール「Rakuten BRAND AVENUE(楽天ブランドアベニュー)」を10月1日に刷新し、サイト名を「楽天ファッション」に変更。現在、1100以上のブランドが参加しており、今後はブランドとの関係性をさらに強化する。
記者会見には、マッシュホールディングスの近藤広幸社長とジュンの佐々木進社長も登場。「ファッションECは(ZOZOの)1強だが、もう1つ大きな勢力ができれば、ブランドや顧客のためになるルールができるのではないか」(近藤社長)、「ファッション分野に対する楽天の本気度が伝わるし、テナントと協議してサイトを構築していきたいという姿勢に感銘を受ける。楽天の圧倒的な顧客数と技術開発と、有識者のクリエイティブが掛け合わされば、ものすごいサイトになるのでは」(佐々木社長)と楽天への期待感を表明。また、ブランドとモールとの関係性については「(ECは後発なので)実店舗と違い、セールの時期やポイント増量などのルールがあいまいだ。大きな勢力が1つだと全て決めてしまう。複数あればルールや秩序が早く生まれるのではないか」(近藤社長)、「複数サイトによる競争がなされれば(業界が)ヘルシーになるし、テナントも含めて切磋琢磨することがファッションの価値向上につながる」(佐々木社長)とした。