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2018.07.27

来場者減少もクリエイター系ブランドが好調――第45回モード・イン・フランス展

プロジェクト・ディレクターのエルヴェ・ユシェ氏

 仏の婦人ファッションブランドによる合同展示会「第45回モード・イン・フランス展」(仏プレタポルテ連盟主催)が東京・渋谷ベルサールファーストで25日に開幕。49ブランドが2019春夏コレクションを披露している。同展開催に合わせて来日したプロジェクト・ディレクターのエルヴェ・ユシェ氏が、同展の現状と展望について語った。会期はきょう27日まで。

 ユシェ氏は、会期2日間を終えた同展を振り返り、「来場者は前年7月展に比べて10%減少しているものの、既存のバイヤーをしっかりと捉えつつ、新規バイヤーも取り込めていることに、来場者は非常に満足している」とコメント。今年1月展で新設した、クリエイター系ブランド集めた「エスパス・ラベル」(6ブランド参加)が好評だといい、今後も出展者を増やして継続していくこと、メンズブランドや服飾雑貨の出展を併せて充実させ、出展ブランドの幅を広げるという。

 また、「エスパス・ラベル」の充実を図るなか、今後は、他の展示会との共同出展なども視野に入れ、「モード・イン・フランス」の日程変更も検討していると明かした。

 「2016~2017年のフランスの衣料品輸出金額を見ると、日本への輸出は全体の7・7%を占める。輸出相手国として、日本は第9位と依然重要なマーケット」とユシェ氏。「今月には日本のEUのEPA(経済連携協定)への署名が行われ、貿易拡大が見込める。日本への衣料品輸出も約25%の増加が見込める」と期待を寄せた。

■「エスパス・ラベル」に出展したクリエイター系ブランド

「タンセル(TINCELS)」

 仏・リヨン発のレディスブランド「タンセル」は、絹織物で有名な地元リヨンの伝統素材を現代的にアレンジ。オリジナルのプリント柄に人気がある。おもな卸価格は、ブルゾン45~50ユーロ、パンツ50~55ユーロ。ジャケットやアウター70~100ユーロ。日本では大手セレクトのベイクルーズなどと取り引きがあり、「フランスの次に日本は重要なマーケット。日本のバイヤーと実際に会って商談をしたい」と同展に初参加した。

(写真上)独自のオートクチュール技法で製作したドレス
(写真下左)アンゴラウサギの抜けた毛を利用したカーディガン(同右)オリジナルプリントを取り入れたオールインワンは100%シルクで上代600ユーロ。2019春夏は同柄の水着も発表した

「フェット・アンペリアル(Fête Impériale)」

 

 ローラ・ゴティエ=プチが2015年に設立したレディスブランド「フェット・アンペリアル」は、ギリシャ神話や自然をテーマにしたコレクションを発表。独創的なオリジナルプリントが人気だが、エシカルなアプローチも同ブランドの特徴。仏南西部のアンゴラで作られたカーディガンは(上代680ユーロ)は、生きたアンゴラウサギから入手したものではなく、抜けた毛を集めた製作したもの。また、オートクチュール技法や繊細なゴブラン織りなど熟練した技術を持つ職人を採用することで、雇用創出にも貢献。「来シーズンはコレクションの8割を仏で製造する計画。仏のファッション産業を支えたい」という。日本での展示会参加は、今回が初めて。

「ヴァレンヌ(VARENNES)」

 1974年にラファエル・マメ氏がアトリエを創業し、40年以上の歴史を持つ。仏やイタリアのタンナーから仕入れた上質な革は、「エルメス」など高級メゾンも採用している。プリーツ入りの革バッグが定番だが、今回披露した2019春夏コレクションは、バドミントン、テニス、ゴルフの3つのスポーツをコンセプトに製作。イエローやグリーンなどの鮮やかなカラーを使い、布帛とのミックスも発表。
 「モード・イン・フランス」への参加は5回目で、「エスパス・ラベル」への出展は2回目。日本では、トゥモローランド「ギャラリー・ヴィー」やセレクトの「デスペラード」、地方の有力セレクトなど20店舗以上の取り引きがある。中型革バッグで、下代価格は、250ユーロ。

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