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2025.02.16
【NRF25 vol.4】「メイシーズ」が「移行と投資の年」を経て再生へ
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写真:「メイシーズ」のトニー・スプリング会長
大衆百貨店「メイシーズ(Macy’s)」を中心に、中高級百貨店「ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)」、化粧品専門店「ブルーマーキュリー(Bluemercury)」を傘下に持つ、小売業界の大手企業グループ「メイシーズ」。2025年1月13日のNRFリテールビッグショーに、各企業のトップがディスカッションを行った。
「メイシーズ」グループの会長であるトニー・スプリング氏は、現在同社が進めている3年計画「Bold New Chapter(大胆な新章)」戦略について説明した。この戦略の目的は、急速に変化する小売業界の中で同グループを再構築し、未来に向けた成長基盤を確立することを目的としていると話した。
顧客の声から生まれた改革
「メイシーズ」は、休眠顧客を含む60,000人以上の顧客にヒアリングを実施し、顧客が求めるショッピング体験について詳細に分析した。その結果、商品ラインアップの充実や店舗サービスの向上、魅力的な店舗プレゼンテーションの強化が求められていることが明らかになったという。さらに、デジタルと伝統的マーケティングの最適なバランスを取ること、サプライチェーンの迅速化、正確な商品配送の強化も、顧客の期待として浮かび上がった。
加えて、同グループはラグジュアリーマーケットへの進出を重要な戦略の一環と位置づけている。特に、「ブルーミングデールズ」と「ブルーマーキュリー」は15四半期連続で既存店売上高の伸びを記録し、第3四半期には特に顕著な成果を上げた。
実施済みの改革と成果
「Bold New Chapter」の取り組みを段階的に進めており、現在は中盤に差し掛かっている。スプリング氏によると、すでに実施された施策として、「メイシーズ」の50店舗における体験向上プロジェクトが挙げられる。主要店舗を選定し、商品ラインアップを最適化したほか、店内の陳列密度を調整し、買い物しやすい環境を提供した。さらに、試着室でのサービスを強化することで、顧客満足度(NPS)が3四半期連続で向上し、売上の増加にもつながった。
また、デジタルとフィジカルの融合を強化するため、新たな技術の導入も進めている。顧客が「欲しい商品を、欲しい場所で、欲しい方法で」購入できる環境を構築するため、データ分析に基づいたアルゴリズムを活用し、適切な商品を適切な場所に提供する仕組みを整えている。
スプリング氏は、さらなる改革を進めていくと強調した。今後の成長戦略として、デジタルとフィジカルのさらなる統合、サプライチェーンの最適化と迅速化、ラグジュアリーマーケットの拡大を重要事項としている。
現在、ニューヨークの34丁目の「メイシーズ」は館内環境やVMDのアップグレード、人気ブランドの強調などを実施し、以前のような大衆的なイメージを払拭している。「ブルーミングデールズ」は、アッパーイーストにある店舗でラグジュアリーブランドや新進デザイナーの売場を拡大している。その一方、サンフランシスコの「ブルーミングデールズ」を新たに閉鎖しており、スプリング氏が「移行と投資の年」と形容した2024年を経て、再生への取り組みを加速しているようだ。