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2018.03.23

【2018秋冬東京ファッションウィーク4日目】スタイリングで魅せるアダストリアのリアルクローズ、1993年生まれの新鋭デザイナーが手がける「ティー」、ローラースケートリンクでショーを行ったG.V.G.V

 2018年3月22日、4日目を迎えた2018秋冬アマゾン ファッション ウィーク東京(以下、AFWT)。先シーズンに続きアダストリアのグローバルワーク(GLOBAL WORK)とハレ(HARE)がランウェイショーを開催。そしてAT TOKYOでは東京ストリートの新進気鋭ブランド、ティー(TTT_MSW)が初のランウェイショーを行った。ラストはG.V.G.V.(ジーヴィージーヴィー)。東京ドームシティのスケートリンクの上にランウェイを作り、ショーを行った。

グローバルワーク(GLOBAL WORK)

 会場の中央には、大きな球状のオブジェを設置。それを囲んだ正方形のランウェイをメンズ、ウィメンズ、キッズのモデルがウォーキングするという形式でショーを行った。

 披露したコレクションは、ブリティッシュカントリーがベース。メンズ、ウィメンズとも、タータンやグラフ、ウィンドーペーン、マドラス調などの様々なチェック、太ボーダーやシングルストライプなどトラディショナルな準柄を、重ねたり、バイヤスにしたりして遊んだ。

 ロンドンストライプのビッグシャツは、抜き襟ではなく第一ボタンまで止め、モードなニュアスンスを与える。淡いチェックのセットアップの下には、細ボーダーのタートルカットソーの上にミドルフ丈のニットをレイヤード。ウィンドーペーン、グレンチェック、ブラックチェックのアイテムを幾重に重ねて、ビッグシルエットを描いたルックも。ウィメンズでは、ヴィンテージ感のあるフラワープリントのワンピースをカジュアルに着こなした。

 コントラストの効いたスタイリングが目をひく。スクールストライプのキルティングジャケットのメンズルックやタートルのクリーンなウィメンズジャケットの下にはスパッツを合わせ、ニットや紡毛アイテムの上には艶やかなスカーフをなびかせた。

 ジェネラルトレンドを程よく取り入れた着まわしの効くアイテムたちを、見事なスタイリングで魅せたショーであった。

「グローバルワーク」2018秋冬コレクション

ハレ(HARE)

 文化服飾学院のホールでショーを開催。オベリスクのように文字を配した背景やランウェイに現れたのは、オールブラックで仕上げたアーバンアウトドアモード。コマンドやバイカーのディテールやアイテムを加えた黒ルックが続く。

 その後、タータンチェックを多用したブリティッシュパンクのストーリーに。チェックオンチェック、ジップづかいなどの手法を使いながら、カラーコントラストは抑えめ。街に馴染む先進性を提案した。

 後半は、レトロでヴィヴィットなカラーパレットに移行。フィッシャーマン、アノラックニット、トレンチ、ラインパンツなど、アウトドア、トラッド、スポーツアイテムをミックス。トーン・オン・トーン、カラーブロッキングなどの手法でカラフルに仕上げた。

「ハレ」2018秋冬コレクション

ティー(TTT_MSW)

 アマゾン ファッションが主催するプログラム「アット トーキョー(AT TOKYO)」で、東京ファションウィーク初参加となったティー(TTT_MSW)。デザイナーの玉田翔太が文化服装学院在学中に19歳で始動。スウェット一型から始まったブランドは、ファッションだけに捉われず、独自のコミュニティーの仲間と共にエキシビションやショートムービーの製作など、活躍の場を広げている。

 初のランウェイショーとなった今回は、観覧席に置かれたQRコードから、ショーのイントロダクションとなるウェブ映像へ導くという新しいアプローチを見せた。映像は、広々としたハイウェイを走る車が木にクラッシュするというもの。そして木にぶつかった車を会場に設置し、その車からモデルたちが次々に登場するという演出を行い、会場を湧かせた。国籍も年齢も性別も様々なモデルたち、会場の中央で雨を降らせるような演出は、観客をあたかも映画のワンシーンにいるかのような気持ちにさせた。

 モダンストリートを得意とし、ユースから圧倒的な支持を得ているティーだが、今シーズンは幅広い年代のモデルを起用し、オーバーサイズのセットアップやサテンの開襟シャツ、ファーコートなど、ワルっぽい大人の様相も見せた。先シーズン、英国のシャツ生地メーカー「THOMAS MASON(トーマス メイソン)」のファブリックを用いてシャツを制作したように、素材からとことんこだわるティー。今後の東京ストリートを牽引していくブランドであるということは疑いようもない。

「ティー」2018秋冬コレクション

G.V.G.V.(ジーヴィージーヴィー)

 ローラースケートのリンクでランウェイショーを行ったG.V.G.V.(ジーヴィージーヴィー)。幾何学模様とサイケデリックなパターンで生み出すヴィジュアルアートのようなコレクションを紡ぎ上げた。ファーストルックにはモノトーンのボーダーファーコートに、もはやパンツかブーツかわからないほどロングなブロックチェックのサイハイブーツ。その後も続くブロックチェックやモノトーンのアイテム、そして徐々に加えられて行く鮮やかなカラーやフラワーパターン。トレンドのパターン・オン・パターンや、70~80年代のレトロなイメージで明るくポップなコレクションだが、パープルやグレーなどシックな色合いや体のラインを美しく見せる縦長のシルエットで、ブランドらしいエレガントなセクシュアリティも忘れない。

「ジーヴィージーヴィー」2018秋冬コレクション

ミューズ(MUSE)

ミューズ(MUZE)/パラドックス(PARADOX)

 先シーズンに続き、今シーズンも合同ショーを開催したミューズ(MUZE)とパラドックス(PARADOX)。ミューズの2018秋冬シーズンのテーマは”MIRROR(ミラー)”。外見の美しさを求めるあまり、痩せていることに憧れを持ってしまったモデルや若者、そしてファッション業界に、内面・外見共に美しくあることの重要性を伝えたいと、「本当の自分を見つめ直す鏡」という意味を込めたという。そして、栄養を取ることの大事さを伝えるため、ブランドからアプローチを図り、大塚製薬・カロリーメイトとのコラボレーションが実現した。カロリーメイトの印象的なイエロー、そしてロゴが入ったパーカーやボトムス、そしてドレスにいたるまで、ブランドが得意とするストリートの要素と組み合わせながら様々なアイテムを紡ぎ上げた。

 

パラドックス(PARADOX)

 パラドックス(PARADOX)は”VIGOR(ヴィガー =活力の意)”をテーマに、肉体的、精神的な強さをコレクションで表現。肉体的な強さはダウンや厚みのあるボンディング素材で、精神的な強さは90年代風のグランジスタイルで表した。そしてパラドックスは、日本体育大学のチアダンス部とコラボレーション。ショーのオープニングで、パラドックスが展開するスポーツライン、「パラドックス スポーツ」のアイテムを身にまとったチアダンス部がパフォーマンスを行った。

文:山中健、山根由実
撮影:土屋航(GLOBAL WORK、HARE、TTT_MSW、G.V.G.V.)
   山根由実(MUZE、PARADOX)

 

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