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2018.01.12

イノベーション部門にNFCチップ入りのスノボウエア インターナショナル・ウールマーク・プライズ開催


(左から)「ボディス」デザイナーのルチカ・サチデヴァ、「ダイン」デザイナーのクリストファー・べヴァンス、「マシュー・ミラー」デザイナーのマシュー・ミラー

 ザ・ウールマーク・カンパニーが主催する若手クリエイター発掘のためのアワード「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)」が、メンズウエア最大の見本市「ピッティ・ウォモ」の特別イベントとして2018年1月9日に開かれ、メンズウェア部門で「マシュー・ミラー(MATTHEW MILLER)」、ウィメンズウェア部門で「ボディス(Bodice)」がそれぞれ優勝。今回から新設されたイノベーション部門で、「ダイン(DYNE)」が受賞した。

 今回は、60か国を超える国々から65人を超えるデザイナーがノミネートされ、世界6カ国・地域からファイナリストが選ばれた。グローバル・ファイナリストは、シックス・リー、カイ(アジア)、ブレア・アーチボルド、ハーマン・グルビサ(オーストラリアおよびニュージーランド)、マシュー・ミラー、ル・キルト(イギリス諸島)、ロム・ルージュ、デイヴィッド・ラポート(ヨーロッパ)、アンター・アグニ、ボディス(インドおよび中東)、ダイン、ザイード・アファス(米)の12組。

 英国出身の「マシュー・ミラー」は、“機能性の後に続く形”というアイデアを採用。温かい気候では服がアクセサリーになるよう、ガーメントベルトシステムを追加するなど、異なる環境を想定して、多機能要素を付加していくもの。廃棄された大理石など再生利用された素材を使用することでプラスチックの締め具を使わずに防止処理を実現するなど、革新的で多岐に渡るウールの表現手法が評価された。

 サリーをキルト布にアップサイクルしていたという祖母の影響を受けた「ボディス」デザイナーのルチカ・サチデヴァは、手織り職人らと共同で、オーストラリア産メリノウールを用いた上品で洗練されたコレクションを発表。職人たちによる伝統技術を称えつつ、再生利用技術や天然染料などを用い、ファッション界における消費廃棄物の問題に取り組んだ点が受賞理由となった。

 また、「ダイン」デザイナーのクリストファー・べヴァンスが発表したスノーボード専用ウエアは、雪崩に巻き込まれた際に追跡できるよう、防水のウールジャケットに近距離無線通信ができるNFCチップを埋め込んだ。審査員から「ブランドと消費者との間にあるギャップを埋める究極の役目を果たした」というコメントが寄せられた。

 メンズウェア部門優勝者のマシュー・ミラーとウィメンズウェア部門優勝者ボディスには業界のメンターサポートに加え、材料調達やコレクションのマーケティング支援金としてさらに20万豪ドル(約1,680万円)を授与。2組は、提携パートナーのインターナショナル・リテールパートナー・ネットワークを通じ、自身のコレクションを販売することもできる。イノベーション部門受賞者のダインには、ビジネスチャンスとともに、10万豪ドル(約840万円)を授与する。

 加えて、オンライン ショールーム プラットフォームである「オーダー(ORDRE)」では、インターナショナル・ウールマーク・プライズの優勝者とファイナリストのカプセル・コレクションを発表。オンライン・ショールーム内の招待者限定リテール・ネットワーク上で公開し、卸売り注文の受注も行う。さらに、同コレクションは1月18日から23日まで、仏パリのブリティッシュ・ファッションカウンセルの「ロンドンショールーム(London Show ROOMS)」でも披露する。

 「IWP」は、ザ・ウールマーク・カンパニーの前身である国際羊毛事務局が、新たな才能発掘のために創設し、1953年に初めて開催。1954年にパリで開催された大会では、イヴ・サンローランとカール・ラガーフェルドが優勝した。

 今回のアワードには、審査員として、デザイナーのフィリップ・リムやイタリア版VOGUE編集長エマニュエレ・ファルネティ、モデル・女優のアンバー・ヴァレッタをはじめ、世界で活躍する有識者が参加。リテール・パートナー・ネットワークの代表として、ブティック1、韓国ブーン・ザ・ショップ、デビッド・ジョーンズ、英ハーヴェイ・ニコルズ、ハドソンズ・ベイ、レーン・クロフォード、レクレルール、マイテレサドットコム、ORDRE、パーラーX、シュガー、タタ・クリック・ラグジュアリーなどの有力小売業者も名を連ねている。2018年度から日本の高島屋も加わった。

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