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2025.11.05

「エンフォルド」初のランウェイショー開催 テーマは“ ECHO PLANET” 異文化の共鳴と進化を描く

 「エンフォルド(ENFÖLD)」は2025年10月30日、東京・新宿住友ビル三角広場で2026春夏コレクションを発表した。ブランド設立13年で初のランウェイショーとなった今回。“ ECHO PLANET(エコプラネット)”をテーマに、異なる文化や感覚が響き合い、互いに共鳴することで生まれる“理想の惑星”を、造形や素材、演出によって表現した。

 三角広場のフロアには円形に椅子を並べた今回。会場中央からスモークが噴き出し、霧が会場全体に広がる中でコレクションがスタートした。モデルはフリンジの長いシューズを履き、歩くたびに煙が立ち上る演出で、特撮映画や未来の宇宙を描いた映像作品を思わせるような浮遊感を生み出した。

 
 コレクションのオープニングを飾ったのは、花のようなリボンをあしらい、前後で丈の異なるブラトップ風のトップスに、ブルマのようなショートパンツとオーバーニーソックスを合わせたルック。黒のジャケットにリボンをつけた白のロングスカート、下着風のドレスやオーバーサイズのコクーンドレスなど、黒と白を基調にしたデザインが続いた。マニッシュとフェミニン、シンプルと装飾、身体の美しさを見せるデザインと、オーバーサイズやデフォルメした造形など、相反する要素が共存していた。

 続いて登場したのは、グレーのジャケットをワンピースのように仕立てたデザインや、袖を長く取ったオーバーサイズのグレードレス。働く男性の着る色であり、都会の迷彩色でもあるグレーを用いたシリーズだ。モデルは、スパンコールで顔を覆い尽くしたり、未来的なサングラスをかけたりすることで、現実感と未来的ムードを融合させていた。

 また、黒・白・グレーといったモノトーンのシリーズとは対照的に、オレンジやイエロー、ピンクなど鮮やかな色を使ったデザインも登場。真っ白なジャケットやオーバーサイズのアイテム、1980年代を想起させるビッグルックや、長い袖で変化をつけたシルエットが並ぶ。アバンギャルドな要素を採り入れながらも、かつてのピエール・カルダンやクレージュなど1960年代の未来派的イメージを加え、新しいバランスを生み出している。

 さらに、ファーを思わせるベストやスカート、ワンピースなど、動物やぬいぐるみのような質感のデザインや、変形的なカットアウト、折り紙細工のような造形も登場。自然を感じさせる青のコートや、地球や葉を思わせるプリント、ナチュラルな色調を使ったデザインでは、自然と未来、エコロジー、リラックスしたムードなどの要素を融合させていた。

 ラストを飾ったのは、光沢のある半透明の白い布を重ねたジャケットや、シルバーのスカート、メタリックなドレス。海外発信を意識し、日本のデザイナーにとって強みとなるテキスタイル技術を駆使して変化をつけたデザインだ。多彩なアイデアやギミック、ディテールを用いながらも、全体は不思議とクリーンで軽やか。透明感とフレッシュさをたたえていた。

 アバンギャルドな発想と、デザイナーの個性や二面性、メッセージ性、時代性が共存するコレクション。コスプレイヤーのようなムードとリアリティが共存するデザインは、未来や宇宙を感じさせながらも、どこか東京的でもあった。次回の発表にも期待が高まる。

 植田みずきは「ブランドデビューした当初は、毎シーズンテーマを設けてブランドの世界観をつくるような作業はしていなかったんですけれども、10年目くらいから一つの区切りができ、毎シーズンテーマを設けて世界観をもう少し膨らませていこうという取り組みを3年ほど前から始めました。それを撮影や動画などで表現してきましたが、そこには収まりきらない“ショー”という形で世界観を広げてみたいという思いが、ここ数年強まっていたので、今回チャレンジしてみようと思いました」とコメント。
また、「今回のショーは集大成というよりも、進化の過程にあります。今回のショーでは、袖が非常に長い服や、袖が複数付いた服などを発表しました。人間の身体が進化していくようすを表現したかったので、このショーを“始まり”と捉えています。ゴールではなく、ここからこの世界をさらに広げていきたいと思っています。今後もエンフォルド、ナゴンスタンスの両ブランドでショーを続けていきたい」と語った。

 

取材・文:樋口真一

Courtesy of  ENFÖLD

 

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