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2018.05.18
「アニエスベー」がサポートする海洋探査船タラ号 東京で海洋汚染を訴える
画像:Tara Expeditions Foundation
「アニエスベー(agnès b)」が、2003年に設立しメインスポンサーとして15年間にわたりサポートしている海洋探査船タラ号。2018年5月16日、寄港している東京・竹芝の船内で、報道陣を招いて調査報告の記者会見とカクテルパーティーを開催した。
タラ号は「アニエスベー」が2003年に設立し、メインスポンサーとして15年間にわたりサポートしている。世界中を航海し、気候変動や海洋環境の調査・研究を行う一方で、人々に環境保護の必要性を呼びかける啓発活動も行っている。2017年春には、太平洋のサンゴ礁を研究する「タラ号太平洋プロジェクト(2016年-2018年)」のため日本に初来航し、その後、台湾から南太平洋の島々や中国、コーラルトライアングルと総称されるソロモン諸島など約33,000kmに及ぶ航海を経て、母港のフランス・ロリアンに帰港する前の2018年5月に日本へ再来航した。
採取した海水で見つかったプラスティック片の拡大映像を使用し、プラスティック汚染を説明するロマン・トゥルブレ事務局長
記者会見では、タラ財団のタラ財団のロマン・トゥルブレ事務局長と筑波大学下田臨海実験センターのシルバン・アゴスティーニ助教が、調査報告を行った。
報告によると世界のサンゴ礁の健康状態は悪化しており、人が踏入れてない海域でもその傾向があるという。この原因には、地球温暖化という地球規模の影響と、人的影響の2つがあるという。
人的影響のひとつとして、海に浮遊するプラスティック汚染を指摘。陸上できちんと廃棄されていないプラスティックが、川に流れ海に流れ込み、漂流するうちに破片となり、食物連鎖に影響を与える。破片は、藻や海藻の芽などが付着し、餌として魚や鳥などの体内に入り込み、その魚を経由して人間の体内に入っている可能性があるという。これまでの調査結果によると、胃袋の中に無数のプラスティック片が入り、死亡した鳥の個体も見つかっているという。人間への影響は、現在世界の科学者が研究しているが、環境ホルモンの問題と同じ問題も考えられると話した。
この人的影響による問題を解決するには、教育活動、工場の改革、リサイクル活動の推進、法整備、インフラ整備の5点が必要だとし、特に子供への教育が重要だと話した。大人の習慣は簡単には変えられないが、子供は習慣ができていない。子供たちへの啓蒙活動をしていくことで、将来的に社会や経済を変えていくことができると語った。
また、小笠原やフィジー、チェスターフィールド、ワリス・フテュナのサンゴ礁は、良好な状況を保っており、温暖化という地球規模の影響も地元住民の努力で改善できるという、明るいニュースも伝えた。
記者会見の最後に、レジ袋やプラスティック容器に頼らないことを力説。リサイクルすること、使わないこと、過剰に作らないこと、そのために一人ひとりが考えて欲しいと訴えた。
今回の日本での航海において、三豊市、神戸市、東京都の各港で、小学生から大人まで地元住民を招待。海洋に対する理解を深めるために、タラ号のこれまでの航海や研究についてなど、船員たちから直接聞くことができる機会がもうけた。タラ号の再来航にあわせ、昨年NHKで放送されたタラ号のドキュメンタリー番組も5月5日に放送。タラ号日本大使の北野武氏が出演した。