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2022.10.04

23年春夏パリ・コレクション「コムデギャルソン」 はかなく慈愛に満ちた抽象美

 【パリ=小笠原拓郎】「コムデギャルソン」の新しいコレクションをどうとらえたらよいのだろうか。静かな音楽とともに登場するのは、ここ数シーズンにも共通する抽象のフォルム。そのアブストラクトな服は、何かに対する攻撃性を感じさせるものでもなければ、声高に異質の美を主張するものでもない。むしろ、抽象の概念で静かに包み込むような寛容さをもっている。同じ抽象のフォルムのコレクションであっても、14年秋冬の「モンスター」であれば、もっと現状に対する怒りが込められていたし、16年春夏の「ブルーウィッチ」であれば謎めいた美しさをはらんでいた。そのいずれでもなく、淡々としながらも、どこかはかなげで慈愛に満ちた雰囲気を感じさせる。

 

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